オリンピックは毒食品と環境汚染を隠す?(5月29日)
2008年05月29日 14:27
豊洲移転は「しょーがない」
石原都知事が築地市場を豊洲に移転させる計画に大きな反対が起こっているのは、みなさんご存じだろう。
何せ、水銀が通常の24倍、発ガン性物質のベンゼンが通常の4万3000倍、さらにシアン化合物が通常の860倍以上も出たというのだから、こんなところで魚を売買したら「毒魚市場」になってしまう。
ちなみに、シアン化合物は青酸カリのモトで、吸入量によっては致死性の猛毒である。
こんな土地なので、土壌を改良するだけで概算で1300億円もの費用がかかると発表された。
新市場の建設費は別で、土と水をキレイにするだけで、1300億円だ。
だったら、築地市場移転計画は撤回されないのだろうか?
豊洲の移転予定地は、その昔は「東洋一のガス工場」とまで言われた、東京ガスの工場跡地である。ガスを作る過程で、ベンゼンやシアン化合物が生成されていた。それらが土地に染みこんだり、廃棄物が地中に埋められたりした。
つまり、土地を汚染したのは、間違いなく東京ガスである。
そして、2008年現在、東京都はこの土地をまだ全部は東京ガスから買い取っていない。
ならば都は、「汚染されていたので撤回」すればいい。せめて「土地を改良してくれないと買わない」と言うこともできるハズだ。
しかし、豊洲移転計画は着々と進んでいる。なぜか?
まずは、事実関係から推測して、東京都と東京ガスとの間で豊洲の移転予定地について、何らかの取引がされている可能性がある。そしてそれは、東京都側が「東京ガスをヨイショする」立場にあると思われる。
なぜならば、2001年に東京ガスが土壌の調査をし、汚染が発覚してから、2007年に追加調査が行われる間にも、既に都は土壌汚染対策費用を計上していたのだ。今年度も、追加の調査結果が出ないうちに670億円の予算を計上している。追加の調査結果が出た現在、その額はさらに1300億円にまで膨らむとみられている。
つまり、東京都は、東京ガスから「豊洲の土壌は毒まみれだ」と言われてながら、その土地を買い取る方向で話を進めているのだ。
そして最大の理由は、オリンピックだ。
石原都知事は東京にオリンピックを誘致しているが、そのために既に様々な都市計画を提案している。
その1つが築地市場跡地を使う「メディアセンター」だ。これは、海外からのマスコミやメディアを受け入れるための施設である。
石原都知事は、この「メディアセンター」を2009年から着工するとIOC(国際オリンピック委員会)に宣言して誘致材料にしている。
また、1980年代から大手ゼネコンが構成する社団法人日本プロジェクト産業協議会(JAPIC)は「築地は情報発信基地か高層住宅街にすべき」という提案をしていた。
オリンピックとゼネコンは切っても切り離せない関係、というかむしろオリンピックはゼネコンのためにあると言っていい祭典だ。
しかし、あまりにも豊洲の土壌が汚染されているために、石原都知事は最近になって「(本当は築地から移転する必要はないと思っていたのだが)海の側が良いって言われたので、しょーがない」と都議会で発言したそうだ。
一体、誰が「海の側が良い」と言ったのか? 少なくとも築地市場と、そこに関わる鮮魚関係者は、ほぼ全ての人が移転に反対している。大手スーパーや外食産業は市場が広くなり、参入しやすくなると言う理由で、当初は豊洲への移転に賛成していたが、深刻な土壌汚染が発覚してからは声を潜めている。
ならば、その発言をしたのは、日本オリンピック委員会(JOC)やJAPICか、東京ガスではないのだろうか? いずれも魚とは関係のない団体だ。
毒食品も環境汚染も「ええじゃないか」
さて、「オリンピックと毒食品と環境汚染」というと、今年の北京五輪からも同じ問題が浮上する。
北京五輪が近づいて、歓迎ムードが高まるにつれ、先の「毒餃子事件」が忘れられようとしている。
そして、今、中国で起きている環境汚染-黄砂、酸性雨、大気汚染、水汚染……日本にも影響があるこれらの事柄も一般の人からは忘れかけられている。
オリンピックは「スポーツ祭典」だ。つまり、祭りだ。
中国の中にも多くの人々が、現在の中国政府に不満を抱いていると思う。中国国内では毒食品によって多数の死者が出ているし、環境汚染をよしとする人などいないだろう。
しかし、聖火リレーで「加油! 加油!」(=頑張れの意)と叫ぶ中国の人々を見て、私はふと、「ええじゃないか」を思い出した。
「ええじゃないか」は、祭りだと思っている人もいるだろうし、実際、現在では祭りとして継承している土地もある。だが実は、「ええじゃないか」は、幕府が倒れ政情が不安になり、さらに大地震などの天災が続き、恐慌状態に陥った民衆から起こった狂乱であるとも言われている。
今回書いた毒食品や環境汚染の他にも、少数民族の弾圧などさまざまな問題を抱え……たぶん、それを知りながらも「オリンピックは政治と別だ!」と叫んで祭りに熱狂する中国の人々の声は、私には「(どうでも)ええじゃないか!」というヤケにも聞こえる。
しかし、中国が発端の毒餃子事件も環境汚染も、そして築地市場移転問題で問題になっている環境汚染と、それによって起きようとしている毒食品問題も、ちっとも「ええことじゃない」し「しょーがなくない」。
祭りの楽しさに熱狂して我を忘れ、なんでも「ええじゃないか」「しょーがない」にしてしまっては、いけないと思うのだ。
オーマイニュース 神田 もつら(2008-05-27 08:00)さんの記事より(原文ママ)
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