築地市場の豊洲移転問題に関する声明(7月8日)
2007年07月08日 12:27
東京都及び「豊洲新市場における土壌汚染対策等に関する専門家会議」の対応を懸念する声明
日本環境学会は2007年7月7日、第33回研究発表会のシンポジウムを受けて、7月9日に以下の声明を発表しました。
声明
東京都及び「豊洲新市場における土壌汚染対策等に関する専門家会議」の対応を懸念する
2007年7月9日
日本環境学会
日本環境学会は、7月7日、第33回研究発表会に際し、シンポジウム「築地市場の豊洲移転を考える」を開催、研究者・市場関係者・一般市民・都議会議員・学生・ジャーナリスト等、約150名が参加して、約4時間にわたり白熱した議論を行なった。
これまで日本環境学会は、2月11日にこの問題に対して声明「築地市場の豊洲移転に反対し、現位置での再整備を要求します」(添付資料①)、5月7日には要請書「築地市場移転予定地の安全性検討会に関する要請書」(添付資料②)を提出した。
本シンポジウムにおける議論は、現在、東京都が進めている築地市場の豊洲移転計画案を鋭く批判し、移転計画の撤回と、現在地築地での市場機能の発展を求めるものとなった。
その理由として挙げられたのは、主として、東京ガス㈱を汚染原因者とする各種汚染物質の調査や撤去が、現在の計画上不徹底極まりないものなので、もし都原案のまま移転が強行された場合には、早晩取り扱い食品の汚染を招く危険が懸念される点にある。このことは消費者の健康に重要な否定的影響を与える。
とくに、低濃度有害物質の長期間曝露は、複合汚染・相乗効果も加わって複雑で慢性的な健康被害が懸念される。この問題について疫学的研究は進展していない。このような場合、現行の環境基準が仮に維持されていたとしても、それだけで安全・安心だと確言できる根拠は何もない。私たちは、予防原則の観点から、汚染土壌・地下水を完全に撤去しないままでの今回の移転案には、重大な懸念を表明せざるを得ない。
この間、会員有志は、東京都が設置した「豊洲新市場における土壌汚染対策等に関する専門家会議」を2回にわたり傍聴したが、それぞれ僅か4名の委員の日程が合わせられずに欠席・早退者が出る中で審議が行われたり、わずか2時間の討議時間をもてあまして15分も繰り上げて審議を打ち切ったり、およそ「熱心な討議」とはほど遠い不十分な内容であった。しかも、議論の前提として、土壌汚染対策法の調査方法に照らしても極めて不十分な東京ガス㈱の汚染基礎調査を「よくやっている」と評価し、いくらかの追加調査を実施すれば答申が出せるという方向を定めたことは重大である。
法の基準を満たしただけで安全とは言えないことは前述のとおりであるが、客観的な事実認識のためには、少なくとも、土壌汚染対策法の調査方法に従った調査を実施すべきである。このような調査を実施せず、新設建物下部のボーリング施工の難しさや、建物内の揮発性物質の滞留を問題視するなどの議論は、すでに移転を前提としたものと言わざるを得ない。このままでは、9月に予定されている同会議の答申が、客観的な妥当性を持ちうるのかどうか、はなはだ疑問である。
さらに言えば、科学の世界では、クロスチェックや追試等の手段によって、データと論理の客観性・妥当性を検証することが不可欠である。私たちも、構内への立入と、必要な試料の採取や測定を行いたいと再三申し入れた。しかし、未だに都は、極めて根拠薄弱な理由でこれを拒否し続けている。このような状況で得られる結論という点で、同会議の答申の信憑性はないものというべきである。
議論を建設的に進めるためにも、これらの疑問に対し、都自身が誠実に回答することを強く求める。併せて、5月7日付けで申し入れた要請書に対しても、速やかに回答するよう求めるものである。
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